エンタープライズ・アーキテクチャー管理

エンタープライズへのソフトウェアおよびソリューションの配信の過程全般において、設計者はアセット (モデルやデザインなど) を作成します。設計者は Rational Asset Manager を使用して、アーキテクチャー・デザイン・モデルが ソフトウェア開発を制御する方法を統括管理することができます。
アーキテクチャーおよびデザイン管理には、以下のような管理が含まれます。
Rational® Asset Manager の多様なデザイン・ツールおよびモデリング・ツールを 使用して、エンタープライズ・アーキテクチャー、およびそれらのアーキテクチャーに基づくソリューションを統括管理することができます。

以下の画像は、IBM Rational Asset Manager を使用して、さまざまなツールと作業製品の種類の間での論理関係および物理関係を管理する方法を示しています。

この画像には、アセットの計画フェーズ、デザイン・フェーズ、構成フェーズ、およびデプロイメント・フェーズにおける
ビジョン、実装、および実稼働コンテキストを表す 3 つのボックスがあります。「ビジョン」のボックスには、
Rational System Architect モデル・アセットまたはレポート・アセットが入っています。「実装」のボックスには、
Rational Asset Manager のアセット・タイプが入っています。ビジネス・サービス、アプリケーション・コンポーネント、機能、
および要件です。「実稼働」のボックスには、Rational Software Architect、WebSphere WSRR、および Tivoli CCMDB の
アセット・タイプが入っています。公開されたサービス・エンドポイントおよびデプロイされたアプリケーション・コンポーネントです。

アーキテクチャー管理には、以下の表に示すように、多様な開発フェーズにおけるいくつかの明確なニーズが含まれます。
表 1. エンタープライズ・アーキテクチャーの管理
フェーズ コンテキスト 製品
計画 計画段階において、設計者は大規模なシステムズ・オブ・システムズの構築または拡張を計画します。焦点は、ポートフォリオ投資、ビジネスの優先順位、および要件の調整です。 Rational System Architect
設計 設計フェーズにおいて、設計者はソフトウェアおよびシステムの構造と動作を設計します。 焦点は、システムとソフトウェア・ソリューションの構造と動作の理解、および計画されたソリューションの抽象化です。
  • IBM Rational Software Architect
  • IBM Rational Rhapsody®
構造化 構造化の段階において、開発チームは、エンタープライズ・アーキテクチャーおよび ソリューション・アーキテクチャーに従って、システムとソフトウェアを実装します。 IBM Rational Application Developer
デプロイメント デプロイメントの段階において、チームはターゲットとなる実稼働環境 (IT システム、組み込みデバイス、またはより複雑なシステム複合体アプリケーション) にソリューションをデプロイします。焦点は、ソリューション配信および 運用管理の自動化です。
  • Rational Software Architect
  • Rational Asset Manager と IBM Tivoli® Change and Configuration Management Database の統合

エンタープライズ・アーキテクチャーの開発とアセット管理のガバナンス

Rational Asset Manager を、アーキテクチャー・アセットの統括管理、 およびデザイン・アセットとソリューション・アセットの接続のためのハブとして使用することができます。

以下の画像において、 Rational Asset Manager サーバーから出ている矢印は、アセットを検索、検出、および使用しているユーザーを表します。サーバーを指している矢印は、アセットを作成、または変更しているユーザーを表します。

画像は後続のテキストで解説する例の、一連のステップを示しています。例は、
Rational System Architect と Rational Software Architect を管理するために Rational Asset Manager をハブとして使用する方法を
示しています。これにより、モデルのレビューと使用が可能になり、さらに、そのモデルをチームの開発アセットを制御するために
使用することができるようになります。

この画像は、以下のアクティビティーを示しています。
  1. エンタープライズの設計者は、再使用する Rational Asset Manager のアセットを検索します。 設計者は適切なビジネス・モデル、コンポーネント、あるいは設計と定義の青写真を検索し、それらを新しい システム・アーキテクチャー・モデル (例えば、自動化が必要なビジネス・サービスなど) で使用するか、またはそれらを改善します。
  2. エンタープライズの設計者は新しいモデルを作成し、Rational Asset Manager で、それをアセットとして公開します。システム・モデルは、ビジネス・プロセス、あるいは組織の変更など、あらゆる設計 または計画に使用することができます。

    Rational Asset Manager は Rational System Architect ダイアグラムおよび定義アセットをサポートします。 Rational Asset Manager Web クライアントで、 Rational System Architect モデル・コンテンツを公開することができます。 Rational System Architect を使用して、モデルの HTML 表現を生成することができます。さらにそれをアセットとして公開することや、参照することが可能になります。

  3. 他の設計者および開発者は、ソフトウェアのデザインおよび実装をレビューする際に、アセットを参照することができます。
    • 開発チーム、および他のビジネス・ユーザーおよびテクニカル・ユーザーは、アセットを検出、評価、および使用することができます。
    • ソフトウェア設計者は、システム・アーキテクチャー・モデルを使用して、ソフトウェアのデザインをガイドすることができます。
  4. ソフトウェア設計者はモデリング・ツール (Rational Software Architect または IBM WebSphere® Business Modeler など) を使用して、Rational System Architect で作成され、 Rational Asset Manager にアセットとして登録されたエンタープライズ・アーキテクチャー・アセットに基づいているか、あるいはそのアセットを必要とするモデル、設計、および定義を作成します。 設計者は開発チームに向けて、コンテンツをアセットとして公開します。
  5. 利害関係者は、アセットのレビューおよび承認の統括管理に役立つアセット・ライフサイクルに参加します。
    • 開発チームは、実装をガイドし、実装アセットの公開と再使用を可能にするため、Rational Asset Manager を使用してアーキテクチャー・モデルを表示します。
    • アーキテクチャー・アセットおよび実装アセットに接続するため、利害関係者はアセット間の関係を作成することができます。

    アーキテクチャーを動作可能にするため、利害関係者は、実装がシステムおよびソフトウェア・モデル内の デザインおよびアーキテクチャーに従うように要求することができます。

  6. 承認前にアセットの整合性を検証するため、エンタープライズ設計者はアセットを検索し、レビューします (または、 Rational System Architect レポートを使用します)。アセットをサブスクライブする場合、 アセットをレビューする準備が整うと、通知されます。

    例えば、設計者は、実装アセットがシステム・モデル・アセットで 指定されたとおりにエンタープライズ・アーキテクチャーと整合性を保っているかを確認することができます。あるいは、 設計者は、アーキテクチャーと関連して何が実装されているかを検査することができます。モデルから関係を使用することにより、 設計者は関係する実装アセットを確認し、それらがエンタープライズ・アーキテクチャー・モデル・アセットと整合性を保っているか レビューすることができます。


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