z/OS でのビルド・サーバーの始動

z/OS® では、z/OS または USS ビルドを実行するようビルド・サーバーを構成できます。両方のビルドが必要な場合は、2 つのサーバーを始動する必要があります。 サーバーは、それぞれのタイプに応じた固有の TCP/IP ポート上で listen します。

構文

ビルド・サーバーを始動するには、z/OS JCL コマンドを使用します。パラメーター行の構文は、以下のとおりです。

構文: // PARM= '-p <portno> [-V ...] [-a {2|1|0} [-n <n>] [-q <q>] [-t]'
ここで
-p
クライアントと通信するためにサーバーが listen するポート番号 (portno) を指定します。
-V
サーバーの冗長レベルを指定します。 このパラメーターは、3 回まで (最大冗長レベル) 指定できます。
-a
以下のように認証モードを指定します。
2
サーバーの状態: A (許可)。サーバー・コードは APF 許可を受けたライブラリーにインストールされました。リモートのビルド・クライアントを使用してビルドを開始する場合は、有効な TSO ユーザー ID を指定した destUserID と、有効な TSO パスワードを指定した destPassword のビルド記述子オプションを指定する必要があります。サーバーは、このユーザー ID のアクセスおよび権限の下にビルド・トランザクションを実行します。 モード 2 はデフォルトです。
1
サーバーの状態: A。有効な TSO ユーザー ID とパスワードを提供できます。サーバーは、このユーザーのアクセスおよび権限の下にビルド・トランザクションを実行します。 ユーザー ID およびパスワードを指定しなかった場合、ビルド・トランザクションは、ビルド・サーバーのジョブに割り当てられたユーザー ID のアクセスおよび権限の下で実行されます。
0
サーバーの状態: A、または U (不許可)。U の場合は、APF 許可ビルド・プログラムは失敗します。 TSO ユーザー ID およびパスワードを指定した場合は、サーバーによって無視され、 ビルド・サーバー・ジョブに割り当てられたユーザー ID のアクセス権限と権限の下でビルド・トランザクションが実行されます。
モード 1 および 2 は、サーバーのロード・モジュールが APF 許可ライブラリーから実行されている場合にのみ使用できます。
-n
並行ビルドの数を指定します。 デフォルトは 1 です。許可する並行ビルドの数と等しくなるように n を設定します。 実行中の並行ビルドの数が n 個になると、 ビルド・サーバーは、追加の要求をすべてキューに入れ、 ビルドが完了したときに、キューに入れられた順序に従ってそれらの要求をサブミットします。
-q
クライアントのキューのサイズ (q) を指定します。 デフォルトは 10 です。 キューに入れられたそれぞれのクライアントは、TCP/IP ソケットを使用します。 このため、サイズをあまり大きく設定すると、 必要なソケットの数が使用できるソケットの数を上回り、予想不能な結果を招く場合があります。 キューがフル状態になると、後続のクライアントはサーバーにリジェクトされます。 ただし、その場合は、ビルド・クライアントはビルドを再試行します。
-t
このサーバー・ジョブのトレースを開始して、出力を STDOUT に書き込みます。 このパラメーターは通常、デバッグ用にのみ使用されます。

プロシージャー

z/OS ビルド・サーバーを始動するには、CCURUN.JCL (z/OS の場合) または CCURUNU.JCL (USS の場合) を使用して以下の手順を実行します。
  1. ジョブ・カードを追加します。
  2. 必要に応じて、EXEC カードの PARM ステートメントでパラメーターを変更します。 (上記のパラメーター・リストを参照してください。)
  3. STEPLIB DD ステートメントを変更して、ビルド・サーバーのロード・モジュールを含むデータ・セットを指すようにします。このライブラリーには、リモート・ビルド・サーバーを構成するすべてのロード・モジュールが含まれています。
  4. CCUWJCL DD ステートメントを変更して、個々のビルド・ジョブを実行する JCL を含むデータ・セットを指すようにします。この JCL は、CCUMVS.JCL (z/OS ビルドの場合) または CCUUSS.JCL (USS ビルドの場合) の変更済みバージョンである必要があります。
  5. 順次データ・セットとして CCUBLOG を指定します。このデータ・セットには、ビルド・サーバーのログが書き込まれます。
  6. ジョブに適するようにパラメーター (PARM=) ステートメントを変更します (以下の例を参照)。
  7. ジョブを実行依頼します。

以下に、ビルド・サーバーを z/OS ビルド用バッチ・プログラムとして開始する JCL の例を示します。
//jobcard
//*------------------------------------------------------
//RUNPGM  EXEC PGM=CCUMAIN,DYNAMNBR=30,REGION=7400K,TIME=NOLIMIT,
// PARM='-p 2604 -a 2 -n 3 -q 20'
//STEPLIB  DD DSN=CCUBLD.LOADLIB,DISP=SHR
//CCUWJCL  DD DISP=SHR,DSN=CCUBLD.JCL(CCUMVS)  for z/OS builds
//*CCUWJCL DD DISP=SHR,DSN=CCUBLD.JCL(CCUUSS)  for USS builds
//STDOUT   DD SYSOUT=*
//STDERR   DD SYSOUT=*
//CCUBLOG  DD SYSOUT=*
USS ビルド用の JCL を変更するには、コメント標識 (//*CCUWJCL 内の *) を、前の行の // の後に移動します。

z/OS ビルドの特別な考慮事項

APF 許可ライブラリー (モード 1 およびモード 2 では必須、モード 0 ではオプション) から z/OS 上のサーバーを始動する場合は、ビルド・スクリプトで APF 許可プログラムを実行可能として指定できます。

注: この場合、ビルド・スクリプトは、非 APF 許可プログラムを指定することもできます。 ただし、マルチステップの JCL スクリプト内では、許可プログラムが 不許可プログラムの後に実行されることはありません。

サーバーが APF 許可ライブラリーから始動していない場合は、ビルド・スクリプトが 実行可能ファイルとして指定できるのは、非 APF 許可プログラムのみです。

ビルド・サーバーから返されるメッセージの言語の設定

z/OS 上のビルド・サーバーは、次の表にリストされているいずれかの言語でメッセージを返します。英語がデフォルトです。

言語 コード
ブラジル・ポルトガル語 ptb
中国語 (簡体字) chs
中国語 (繁体字) cht
英語 (米国) enu
フランス語 fra
ドイツ語 deu
イタリア語 ita
日本語 jpn
韓国語 kor
スペイン語 esp

ビルド・サーバーのメッセージが英語以外の言語で返されるようにするには、クライアント・マシン上の環境変数 CCU_LANG の設定を変更します。この変数は、前の表にリストされた言語コードのうち 1 つを含みます。 例えば、メッセージをフランス語で返すには、CCU_LANG を fra に設定します。

また、ビルド・サーバーを起動するコンポーネントでは、 ビルド・サーバーとの通信が失敗した場合にメッセージ発行が必要になることがあります。 これらのメッセージを英語以外の言語で返すには、クライアント・マシン上の環境変数 CCU_CATALOG の設定を変更します。CCU_CATALOG の値は、 以下のような (単一行の) ストリングです。
  shared_resources¥eclipse¥plugins
  ¥com.ibm.etools.egl.distributedbuild_version¥executables¥ccu.cat.xxx
shared_resources
製品の共用リソース・ディレクトリー。例えば、Windows システムでは C:¥Program Files¥IBM¥SDP70Shared、または Linux システムでは /opt/IBM/SDP70Shared。 現在の製品をインストールする以前に EGL を含む前のバージョンの IBM® 製品をインストールして保持している場合は、 以前のインストールでセットアップした共用リソース・ディレクトリーを指定する必要があります。
version
インストールされているプラグインのバージョン。複数存在する場合は、旧バージョンを使用する理由がない限り、最新のバージョン番号を持つプラグインを使用してください。
xxx
希望する言語のコードで、前の表にリストされたコードの 1 つ。

最後に、ビルド・サーバーが USS の下で実行し、メッセージを英語以外の言語で返す場合は、シェル・スクリプト ccubldw.sh の内容を変更する必要もあります。このスクリプトは、USS ビルド・サーバー・コンポーネントのインストール時にカスタマイズされます。

USS で複数の言語をサポートするには、言語ごとに異なる USS ビルド・サーバー・コンポーネントを始動して、各コンポーネントが異なるポートで listen し、異なるバージョンのスクリプトを使用するようにします。

USS シェル・スクリプト ccubldw.sh を特定の言語に設定するには、以下のようなステートメントを追加します (1 行で指定します)。
  export CCU_CATALOG=
    /installationDir/usr/lpp/EnterpriseDeveloper
    /BuildServer/ccu.cat.xxx
installationDir
USS ビルド・サーバー・コンポーネントがインストールされているディレクトリー
xxx
スクリプトがサポートしている言語のコードで、前の表にリストされている小文字のコードの 1 つです。

ビルド・サーバー構成に関する追加詳細

ビルド・サーバーの構成方法に関する追加詳細については、「IBM Rational® COBOL Runtime for z/Series program directory」(GI10-3242) を参照してください。


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