Rational Developer for System z
Enterprise COBOL for z/OS バージョン 4.1 コンパイラーおよびランタイム 移行ガイド


新しいコンパイラーおよびランタイムの利点

Enterprise COBOL コンパイラーおよび言語環境プログラムのランタイムは、OS/VS COBOLVS COBOL II、 および IBM COBOL に対する追加の機能を提供します。表 1 に、 新しいコンパイラーおよびランタイムの利点を示し、 それらが VS COBOL IIOS/VS COBOLIBM COBOL のいずれに適用されるかについても示します。

表 1. Enterprise COBOL および言語環境プログラムの利点
    利点を備えていない製品
利点 OS/VS COBOL VS COBOL II IBM COBOL
XML サポート Enterprise COBOL は、XML 文書の構文解析および生成のための新規のステートメントを提供します。このステートメントによって、プログラムで XML コンテンツを COBOL データ構造に変換し、 COBOL データ構造を XML 文書に変換することができます。 X X X
Java との相互運用性 (インターオペラビリティー) Enterprise COBOL はオブジェクト指向 COBOL 構文をサポートするので、COBOL と Java を相互に連動させて運用することができます。 Java との相互協調処理は IMS でもサポートされます。 X X X
マルチスレッドでの実行のサポート Enterprise COBOL は、POSIX スレッドおよびシグナルを許容レベルでサポートします。Enterprise COBOL を使用すると、1 つのプロセス内でマルチスレッドで実行される COBOL プログラムをアプリケーションに組み込むことができます。 X X X
Unicode サポート COBOL の Unicode サポートは、プロ ダクト z/OS Support for Unicode を使用し ます。 X X X
DB2 機能の改善 Enterprise COBOL では、DB2 ストアード・プロシージャーのサポートが組み込まれています。 X X  
DB2 コプロセッサーのサポート X X *
CICS 機能の改善 Enterprise COBOL では、CALL ステートメントのサポート (EXEC CICS LINK を使用する場合よりも 高速の CICS パフォーマンスのための) が組み込まれており、BLL セルは必要 ありません。OS/VS COBOL プログラムについての基底アドレス可能度の考慮事項を参照してください。 X    
DATA(24) および DATA(31) プログラム用の WORKING-STORAGE スペースの増加。DATA(31) の場合、限界は 128M です。DATA(24) の場合、限界は 16MB 境界より下の使用可能スペースです。 X X  
組み込みの CICS 変換プログラムのサポート X X *
使用可能度に関する機能強化 以下の機能強化:
  • COMP-5 項目または TRUNC(BIN) を指定した BINARY 項目での VALUE 文節における大きなリテラル
  • 関数ポインター・データ型
  • ADDRESS OF を指定した引数
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COBOL 言語の向上 組み込み関数を使用して、COBOL で数学関数および金融関数を実行することができます。FORTRAN または C で書かれた現行ルーチンを固有 COBOL コードで置き換えて、アプリケーション・ロジックを単純化することができます。 X X  
境界より上のサポート 仮想記憶制約解放 (VSCR) により、プログラムを置いたり、コンパイルしたり、プログラムにアクセスしたりする場所が、 16MB 境界より下または上のどちらにあっても構いません。 X    
QSAM バッファーは、DFSMS およびデータ・ストライピングを最適にサポートするため に 16MB 境界より上に置くことができます。 X X  
COBOL 外部データは、境界より上に置くことができます。 X X  
31 桁のサポート Enterprise COBOL では、ARITH(EXTEND) オプションを使用したときは最大 31 桁 の数がサポートされるようになりました。 X X *
z/OS UNIX システム・サービスのサポート cob2 コマンドにより、z/OS UNIX シェルで COBOL プログラムをコンパイルして、リンクすることができます。COBOL プログラムは、POSIX 標準で定義されたほとんどの C 言語機能を呼び出すことができ ます。 X X  
エラー・リカバリー・オプション プログラマーは、プログラム割り込み、異常終了、およびその他のソフトウェア生成条件を エラー・リカバリーのために代行受信する、アプリケーション固有のエラー処理ルーチンを持つ ことができるようになりました。これは、Enterprise COBOL プログラムを言語環境プログラム呼び出し可能サービスと共に使用して、ユーザー作成条件ハンドラーを登録することによって行われます。言語環境プログラムは、すべての条件管理を処理します。 X X  
コストの節減 インストール先で複数の言語を使用する場合、複数の言語ランタイムを 単一の言語環境プログラム・ランタイムに置き換えると、コストを節減することができます。IBM 担当員と相談して、インストール先で使用している現在のライセンスおよび言語の数 に基づいて可能なコストの節減を評価してください。 X X  
高精度の数学ルーチン 言語環境プログラム呼び出し可能サービスを使用すると、プログラムは最も正確な結果を戻すことができ ます。 X X  
複数の MVS タスクのサポート RES アプリケーションは、複数の MVS タスクのもとで独立して実行できるようになりま した。(たとえば、2 つの Enterprise COBOL プログラムを ISPF 分割画面から同時に実行します。) X X  
パフォーマンス より高速の算術計算。 X    
より高速の動的および静的 CALL ステートメント。   X  
可変長 MOVE の向上したパフォーマンス。   X  
言語環境プログラム CBLPSHPOP ランタイム・ オプションを使って CALL ステートメント用の PUSH HANDLE および POP HANDLE を回避すれ ば、CICS のパフォーマンスが速くなります。 X    
TRUNC(BIN) でコンパイルされたプログラムの向上したパフォーマンス。COBOL (OS/390 および VM 版) リリース 2 は、TRUNC(BIN) コンパイラー・オプションが使用されたとき はさらに効率の良いコードを生成するためのサポートを追加しました。 X X  
向上した ILC 共通の言語環境プログラム・ライブラリーにより、COBOL と他の言語環境プログラム準拠言語との ILC が向上し ます。たとえば、言語環境プログラムのもとでは、COBOL と他の言語との言語間呼び出しがより高速になります。これは、各 CALL ステートメントのオーバーヘッドが大幅に低減されるからです。さらに、CICS では、EXEC CICS LINK の代わりに CALL ステートメントを使用し て PL/I または C プログラムを呼び出すことができます。 X X  
文字操作 16 進数リテラルの使用により、ビットおよび文字操作が向上します。参照変更の使用により、文字操作の柔軟性が向上します。 X    
トップダウン・モジュラー・プログラム開発 プログラムのネストおよび向上した CALL および COPY 機能を介するトップダウン・モジ ュラー・プログラム開発のサポート。 X    
構造化プログラミングのサポート 次のものを介する構造化プログラミング・コーディングのサポート。
  • インライン PERFORM ステートメント
  • CONTINUE プレースホルダー・ステートメント
  • EVALUATE ステートメント
  • 明示範囲終了符号 (たとえば、 END-IF、 END-PERFORM、 END-READ)
X    
COBOL 85 標準への適合性 COBOL 85 標準のサポート。 X    
COBOL 85 標準の改訂 1 (組み込み関数モジュール) のサポート。 X X  
サブシステムのサポート IMS、ISPF、DFSORT™、DB2、WAS の向上したサポート。 X    
再入可能性のサポート すべての OS/VS COBOL プログラムは再入不能です。再入可能プログラムのみを共用ストレージ (LPA または共用セグメント) にロード できます。 X    
Debug Tool のサポート Debug Tool には以下の利点があります。
  • CICS および非 CICS アプリケーションの対話式デバッグ
  • バッチ・アプリケーションの対話式デバッグ
  • CICS および非 CICS アプリケーションのフルスクリーン・デバッグ
  • 同じデバッグ・セッションでの混合している言語のデバッグ
  • ホストで実行されるプログラムをデバッグする機能
  • Rational® Developer for System z と共に作動し、ワークステーションからグラフィカル・ユーザー・インターフェースを使用してホスト・プログラムをデバッグする機能
X X  
以下は、COBOL (OS/390 および VM 版) 以降のプログラムでのみ使用可能です。
  • フックをデバッグせずに COBOL プログラムをコンパイルするための動的デバッグ機能。
  • TEST コンパイラー・オプションに追加された SEPARATE サブオプション。このオプションを指定すると、COBOL プログラムのデバッグ時に Debug Tool が使用する独立したデバッグ・ファイルが生成されます。
X X  
以下は、Enterprise COBOL バージョン 4 のプログラムでのみ使用可能です。
  • 新規コンパイラー TEST サブオプションの EJPD では、OPTIMIZE を指定してコンパイルされたプログラム内でも GOTO/JUMPTO が使用できます。
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ランタイム・オプション ABTERMENC および TERMTHDACT - エラー動作を制御できます。 X X  
CBLQDA - QSAM ファイルの動的割り振りを制御できます。   X  
LANGUAGE - ランタイム・エラー・メッセージの言語を変更できます。 X    
RPTSTG - ストレージ使用報告書を入手できます。 X    
ストレージ・オプション - ストレージが取得される場所および使用されるストレージの量を制御できます。 X X  
Enterprise COBOL バージョン 4 のコンパイラー・オプション 以下のコンパイラー・オプションは、Enterprise COBOL バージョン 4 のプログラムでのみ使用可能です。
  • XMLPARSE - XML PARSE ステートメントで z/OS システム・サービス・パーサーを使用するのか、または既存の COBOL パーサーを使用するのかを制御します。XMLPARSE(COMPAT) オプションでは、XML 構文解析は Enterprise COBOL バージョン 3 と互換性があります。XMLPARSE(XMLSS) オプションでは、z/OS システム・サービス・パーサーが使用され、新規の XML 構文解析機能が使用可能になります。
  • OPTFILE - コンパイラー・オプションが SYSOPTF DD ステートメントで指定されたデータ・セットから読み取られるかどうかを制御します。
  • SQLCCSID - COBOL と DB2 間のコード化文字セット ID (CCSID) の調整を制御します。
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Enterprise COBOL バージョン 3 のコンパイラー・オプション 以下のコンパイラー・オプションは、Enterprise COBOL バージョン 3 以降のプログラムでのみ使用可能です。
  • CICS ― 組み込みの CICS 変換プログラム機能を使用可能にし、CICS オプションを指定します。NOCICS がデフォルトです。
  • CODEPAGE - 実行時に、COBOL ソース・プログラムの英数字、国別、および DBCS リテラ ルと同様に、英数字および DBCS データ項目の内容をエンコードするために使用する コード・ページを指定します。
  • MDECK(COMPILE, NOCOMPILE) - ライブラリー処理の出力をファイルに書 き出すどうか、およびライブラリー処理および出力ファイルの生成後にコンパイルを通常に 続行させるかどうかを制御します。
  • NSYMBOL(NATIONAL、DBCS) ― リテラルおよび PICTURE 文節で使用される N 記号の解釈を制御し、国別処理や DBCS 処理が必要かどうかを指定します。
  • THREAD - 複数の POSIX スレッドまたは PL/I タスクを含む言語環境プログラムのエンクレーブで COBOL プログラムを実行できるようにすることを指定します。デフォルトは NOTHREAD です。
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COBOL (OS/390 および VM 版) のコンパイラー・オプション 以下のコンパイラー・オプションは、COBOL (OS/390 および VM 版) 以降のプログラムでのみ使用可能です。
  • DLL ― コンパイラーは、ダイナミック・リンク・ライブラリー (DLL) サポートに 使用可能であるオブジェクト・モジュールを生成することができます。
  • EXPORTALL ― オブジェクト・デックをリンク・エディットして DLL を作成するときに 特定の記号を自動的にエクスポートするようにコンパイラーに指示します。
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COBOL (MVS および VM 版) のコンパイラー・オプション 以下のコンパイラー・オプションは、COBOL (MVS および VM 版) 以降のプログラムで使用可能です。
  • CURRENCY ― COBOL プログラム用のデフォルト通貨記号を定義するために使用でき ます。
  • OPTIMIZE(FULL) - 新規サブオプション FULL を指定した OPTIMIZE はオブジェクト ・プログラムを最適化し、そのランタイム・パフォーマンスは、OS/VS COBOL および VS COBOL II OPTIMIZE 両オプションの場合より改善されます。コンパイラーは、未使用のデータ項目を廃棄し、廃棄されたデータ項目について VALUE 文節 のコードを生成しません。
  • PGMNAME(COMPAT,LONGUPPER,LONGMIXED) ― 長さおよび大/小文字に関してプログラム 名の処理を制御します。
  • RMODE(AUTO,24,ANY) - NORENT プログラムを 16MB 境界より上に置くことができます。
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その他の COBOL コンパイラー・オプション Enterprise COBOL は、IBM COBOL および VS COBOL II と同様に、コンパイラー出力をさらに制御するための コンパイラー・オプションを提供します。
  • オブジェクト・コードの生成
  • コンパイラーによる仮想記憶域の使用
  • リスト、マップ、および診断
  • ランタイム・デバッグ情報
  • カスタマイズされた予約語リスト
  • COPY または BASIS ステートメントの処理
  • コンパイル・エラー・メッセージのテキスト
  • エラー・メッセージの言語
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注: * COBOL (OS/390 および VM 版) バージョン 2 リリース 2 に対する新機能として、組み込みの DB2 コプロセッサー、組み込みの CICS 変換プログラム、および 31 桁のサポートが追加されました。

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