Rational Developer for System z バージョン 7.6

アセンブラー・プログラムの準備

この章では、Debug Tool の全機能を使用してデバッグできるアセンブラー・プログラムの準備について説明します。アセンブラー・プログラムを準備するには、以下のステップを実行してください。

  1. 正しいオプションを使用して、プログラムをアセンブルする。
  2. EQALANGX ファイルを作成する。
  3. プログラムをリンク・エディットする。

Debug Tool Utilities を使用してアセンブラー・プログラムを準備する場合は、ステップ 1 と 2 を一度に実行できます。

プログラムのアセンブルの前に

アセンブラー・プログラムをデバッグする場合は、ほとんどの Debug Tool コマンドを使用できます。アセンブラー・プログラムのデバッグと、Debug Tool でサポートされているその他のプログラム言語で書かれたプログラムのデバッグには、次に示す 3 つの違いがあります。

アセンブラー・プログラムがこれらの要件に合致するかどうか検査した後、以下の作業を行うことによって、アセンブラー・プログラムを準備します。

  1. ユーザー・プログラムのアセンブル.
  2. アセンブラー・プログラムでのEQALANGX ファイルの作成.

ユーザー・プログラムのアセンブルと EQALANGX の作成に、Debug Tool Utilities を使用してアセンブラー・プログラムを準備する方法 の説明があります。

ユーザー・プログラムのアセンブル

Debug Tool Utilities を使用せずにプログラムをアセンブルする場合は、高水準アセンブラー (HLASM) を使用して SYSADATA DD ステートメントと ADATA オプションを指定する必要があります。これらを指定すると、アセンブラーは SYSADATA ファイルを作成します。SYSADATA ファイルは、Debug Tool が使用するデバッグ情報 (EQALANGX ファイル) を生成する際に必要です。

アセンブラー・プログラムでのEQALANGX ファイルの作成

EQALANGX ファイルを作成するには、EQALANGX プログラムを使用します。 EQALANGX は、Debug Tool の 1 コンポーネントとして出荷され、IBM® Fault Analyzer の 1 コンポーネントとして出荷される IDILANGX プログラムと同じ機能があります。IBM Fault Analyzer がインストールされている 場合、IDILANGX プログラムを使用して EQALANGX ファイルを作成することができます。 ただし、IDILANGX プログラムのバージョンが、Debug Tool に付属の EQALANGX プログラムのバージョンと同じか、または新しい場合に限ります。 この IDILANGX プログラムのバージョンを確認するには、以下のステップを行います。

  1. IBM Fault Analyzer の資料に記載されたとおりに EQALANGX ファイルを作成します。
  2. 作成された EQALANGX ファイルの先頭レコードを見て、そのバージョンをメモに残します。
  3. このセクションに記載されたとおりに EQALANGX ファイルを作成します。
  4. 作成された EQALANGX ファイルの先頭レコードを見ます。

EQALANGX ファイルを作成するのに IDILANGX を使用したい場合は、これらの手順をスキップして構いません。EQALANGX ファイルの作成手順は、IBM Fault Analyzer の資料を見てください。

Debug Tool Utilities を使用せずに EQALANGX ファイルを作成するには、次のような JCL を使用します。

//XTRACT EXEC PGM=EQALANGX,REGION=32M,
//  PARM='(ASM ERROR LOUD'
//STEPLIB DD DISP=SHR,DSN=hlq.SEQAMOD
//SYSADATA DD DISP=SHR,DSN=yourid.sysadata
//IDILANGX DD DISP=OLD,DSN=yourid.EQALANGX

以下には、この例で使用されている変数と、EQALANGX プログラムで使用可能なパラメーターを一覧にしてあります。

PARM=
(ASM
アセンブラー・モジュールが処理されることを示します。
ERROR
このパラメーターの使用を推奨しますが、オプションです。指定すると、エラーの検出時に追加情報が表示されます。
LOUD
LOUD パラメーターの使用を推奨しますが、このパラメーターはオプションです。このパラメーターを指定した場合、 追加の通知メッセージと統計メッセージが表示されます。

ERROR および LOUD パラメーターを指定して表示されたメッセージは、 オペレーター宛メッセージまたはプログラマー宛メッセージ (WTO または WTP) です。 IDILANGX プログラムが表示するメッセージと戻りコードの詳細については、「IBM Fault Analyzer for z/OS® ユーザーズ・ガイドおよびリファレンス」を参照してください。 この EQALANGX プログラムも同じメッセージと戻りコードを使用します。

hlq.SEQAMOD
Debug Tool ロード・モジュールが保管されているデータ・セットの名前。Debug Tool ロード・モジュール が system linklib データ・セットにある場合は、次の行を省略できます。
//STEPLIB DD DISP=SHR,DSN=hlq.SEQAMOD
yourid.sysadata
アセンブラーからの SYSADATA 出力が保管されているデータ・セットの名前。これが区分データ・セットの場合、 メンバー名の指定が必要です。このデータ・セットの特性については、「HLASM Programmer’s Guide」を参照してください。
yourid.EQALANGX
EQALANGX デバッグ・ファイルが保管されているデータ・セットの名前。このデータ・セットのレコード・フォーマットは可変長ブロック・レコード・フォーマット (RECFM=VB) であり、論理レコード長は 1562 (LRECL=1562) でなければなりません。

Debug Tool は、名前が yourid.EQALANGX で、 アセンブリー内の最初の CSECT 名に一致するメンバー名の区分データ・セット で EQALANGX デバッグ・ファイルを検索します。EQALANGX デバッグ・ファイルのメンバー名をアセンブリー の最初の CSECT に一致させたい場合は、DD ステートメントでメンバー名を指定する必要はありません。 そうでない場合は、DD ステートメントでメンバー名を指定する必要があります。この場合、SET SOURCE コマンドを使用して、EQALANGX データが入っているメンバーを Debug Tool に指示する必要があります。

Debug Tool は、専用コード (名前なし CSECT) のデバッグをサポートしません。 名前なし CSECT がアセンブラー・プログラム内で検出された場合、EQALANGX はエラー・メッセージを発行します。

ユーザー・プログラムのアセンブルと EQALANGX の作成

Debug Tool Utilities を使用すると、プログラムのアセンブルと EQALANGX ファイルの作成を同時に実行できます。次の操作を行います。

  1. Debug Tool Utilities を始動する。「Debug Tool Utilities」パネルが表示されます。
  2. オプション 1 の「Program Preparation」を選択する。Debug Tool Program Preparation パネルが表示されます。
  3. オプション 5 の Assemble を選択する。「Debug Tool Program Preparation - High Level Assembler」パネルが表示されます。このパネルで、高水準アセンブラー (HLASM) がプログラムのアセンブルに使用するソース・ファイルの名前とアセンブル・オプションを選択します。

    オプション 5 が使用できない場合は、システム管理者に連絡してください。

  4. Enter を押します。「High Level Assembler - Verify Selections」パネルが表示されます。パネルの表示内容が正しいことを確認してから Enter を押します。
  5. 指定した出力データ・セットがない場合は、そのデータ・セットを作成するために使用するオプションを確認するよう要求されます。
  6. バッチ単位で処理を完了するよう指定した場合は、バッチ・ジョブを実行するため作成された JCL が表示される。JCL が正しいことを確認し、コマンド行に Submit と入力し、PF3 を押してください。
  7. 処理が完了すると、「High Level Assembler - View Outputs」パネルが表示される。このパネルには、完了した各処理の戻りコードが表示されます。このパネルで、入力および出力データ・セットを表示、エディット、またはブラウズできます。

パネルのフィールドに関する詳細を表示するには、入力フィールドにカーソルを置いて PF1 を押します。パネルに関する詳細を表示するには、パネル上で入力フィールド以外の任意の場所にカーソルを置き、PF1 を押します。

プログラムをアセンブルし、EQALANGX ファイルを作成すると、プログラムをリンク・エディットできます。

ユーザー・プログラムのリンク・エディット

プログラムのリンク・エディットは、通常のリンク・エディット手順で実行できます。あるいは、次のように Debug Tool Utilities を使用したリンク・エディットも可能です。

  1. Debug Tool Program Preparation」パネルで、オプション L の「Link Edit」を選択する。「Debug Tool Program Preparation - Link Edit」パネルが表示されます。このパネルで、リンカーに使用させる入力データ・セットとリンク・エディット・オプションを選択します。
  2. Enter を押します。「Link Edit - Verify Selections」パネルが表示されます。パネルの表示内容が正しいことを確認してから Enter を押します。
  3. 指定した出力データ・セットがない場合は、そのデータ・セットを作成するために使用するオプションを確認するよう要求される。オプションを確認後、Enter を押します。
  4. バッチ単位で処理を完了するよう指定した場合は、バッチ・ジョブを実行するため作成された JCL が表示される。JCL が正しいことを確認し、PF3 を押します。
  5. 処理が完了すると、「Link Edit - View Outputs」パネルが表示される。このパネルには、完了した各処理の戻りコードが表示されます。このパネルで、入力および出力データ・セットを表示、エディット、またはブラウズできます。

パネルのフィールドに関する詳細を表示するには、入力フィールドにカーソルを置いて PF1 を押します。パネルに関する詳細を表示するには、パネル上で入力フィールド以外の任意の場所にカーソルを置き、PF1 を押します。

プログラムをリンク・エディットすると、プログラムを実行して Debug Tool を始動できます。


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