本書について
Debug Tool は、充実した z/OS® 環境と Language Environment®の性能を組み合わせることにより、プログラマーが、
プログラムのバグを特定して修正したり、アプリケーションのテストを
行ったりするためのデバッガーを提供します。
Debug Tool を
使用すると、バッチでプログラムのテストを行ったり、非プログラマブル端末をフルスクリーン・モードで使用するか、ワークステーション・インターフェースを使用して、リモート側でプログラムをデバッグすることができます。
本書には、Debug Tool で利用できるコマンド、機能、および変数の説明の他、Debug Tool を使用する際に表示されるメッセージについての説明も記載しています。多くの Debug Tool のコマンドは、サポートしている高水準言語 (HLL) のステートメントに類似しています。本書では、TEST ランタイム・オプションや、すべてのコマンドで共通の構文要素についても説明しています。またアセンブラー、逆アセンブリー、および非言語環境プログラムの COBOL のための構文要素についても説明しています。
本書の対象読者
本書は、言語環境プログラムを使用する高水準言語 (HLL)、および言語環境プログラムを使用する、または使用しないアセンブラー・プログラムをデバッグするために、Debug Tool を使用しているプログラマーを対象としています。本書で HLL とは、C、C++、COBOL、および PL/I を指します。
Debug Tool は、z/OS オペレーティング・システムで稼働し、以下のサブシステムをサポートします。
- CICS®
- DB2®
- IMS™
- JES バッチ
- TSO
- UNIX® システム・サービス、ただしリモート・デバッグ・モードあるいはフルスクリーン・モード (VTAM 端末) の場合のみ
- WebSphere®、ただしリモート・デバッグ・モードあるいはフルスクリーン・モード (VTAM 端末) の場合のみ
本書を用いて、サポートされているいずれかの言語で作成したプログラムをデバッグするためには、その言語のプログラムの作成、コンパイル、および実行の方法を理解している必要があります。
インターネット上の z/OS ライセンス資料へのアクセス
z/OS ライセンス資料は、インターネット上の以下の IBM® Resource Link™ Web サイトから PDF 形式で入手できます。
http://www.ibm.com/servers/resourcelink
ライセンス資料は、z/OS のライセンスをお持ちのお客様だけが入手できます。これらの資料へアクセスするには、IBM Resource Link の
ユーザー ID、パスワード、およびキー・コードが必要です。z/OS のお客様にお渡ししている「Memo to Licensees」(GI10-0671) には、このキー・コードが記載されています。
IBM Resource Link のユーザー ID とパスワードを取得するには、以下の URL にログオンしてください。
http://www.ibm.com/servers/resourcelink
z/OS ライセンス資料へのアクセスのために登録するには、次のようにしてください。
- Resource Link のユーザー ID とパスワードを使用して、Resource Link にログオンします。
- 左端のナビゲーション・バーにある「User Profiles」を選択します。
注:
z/OS ライセンス資料は、利用登録をして、処理完了をお知らせする電子メールを受け取ると利用できるようになります。
ハードコピーのライセンス文書は IBM では取り扱っていません。
z/OS Licensed Product Library CD-ROM
または IBM Resource Link の
PDF 形式のファイルからライセンス文書を印刷することができます。
LookAt を使用したメッセージ説明の検索
LookAt は、多くの
IBM メッセージや、いくつかのシステム異常終了およびコードに
関する説明を検索できるオンライン機能です。LookAt では、通常、該当メッセージの説明がただちに表示されるため、従来の
方法よりも短時間で、必要な情報を検索することができます。
以下の場所から LookAt を使用して、z/OS のエレメントとフィーチャー、z/VM®、VSE/ESA、および AIX® と
Linux®
のクラスターに対する IBM メッセージの説明を検索することができます。
- インターネット。http://www.ibm.com/eserver/zseries/zos/bkserv/lookat/ の LookAt Web サイトから、IBM メッセージ説明を直接アクセスすることができます。
- ご使用の z/OS TSO/E ホスト・システム。
ご使用の z/OS
または z/OS.e
システムにコードをインストールして、TSO/E コマンド行 (例えば、TSO/E プロンプト、ISPF、または OMVS が稼働している
z/OS UNIX
システム・サービス) から LookAt
を使用して、IBM メッセージ説明にアクセスすることができます。
- ご使用の
Microsoft® Windows® ワークステーション。
コードをインストールして、Microsoft Windows コマンド・プロンプト (DOS コマンド行とも呼ばれる)
から LookAt を使用して、「z/OS Collection」(SK3T-4269)
の IBM メッセージ説明にアクセスすることができます。
- ワイヤレス・ハンドヘルド・デバイス。
ワイヤレス・アクセスとインターネット・ブラウザー (例えば、
Pocket PC 用 Internet Explorer、Palm OS 用 Blazer または Eudora、あるいは
Linux ハンドヘルド・デバイス用 Opera) を装備したハンドヘルド・デバイス
で、LookAt Mobile Edition を使用することができます。
LookAt Web サイトから LookAt Mobile Edition にリンクしてください。
「z/OS Collection」(SK3T-4269) のディスクから、または LookAt
Web サイトから、(「Download」をクリックし、ニーズに合った
プラットフォーム、リリース、コレクション、およびロケーションを選択して、)
ホスト・システムまたは
Microsoft Windows ワークステーションに LookAt
をインストールするためのコードを入手することができます。
ダウンロード・プロセス中に使用可能になる LOOKAT.ME
ファイルに詳細な情報があります。
本書の構成
本書では、適切な情報が容易に検索できるように、分野別に類似の情報をまとめてあります。次のリストは、情報がどのようにまとめられているかを示したものです。
- 第 1 章では、TEST ランタイム・オプションの構文を説明します。
- 第 2 章、第 3 章、第 4 章および第 5 章では、Debug Tool コマンドの完全な構文を説明します。
- 第 6 章および第 7 章では、Debug Tool の組み込み関数の構文と変数を説明します。
- 第 8 章、第 9 章、第 10 章、第 11 章、第 12 章、および第 13 章では、Debug Tool および Debug Tool に付属のその他のツールで表示されるすべてのメッセージをリストしています。
- 付録A. リファレンス・カード: 頻繁に使用される Debug Tool コマンドには、印刷可能なリファレンス・カードがあります。リファレンス・カードには、頻繁に使用するコマンドが記載されています。
- 付録B. リモート・デバッグ・モードでサポートされる Debug Tool コマンドには、リモート・デバッグ・モードでサポートされるコマンドのリストがあります。このトピックでは、これらのコマンドの入力方法についても説明します。
- 付録D. サポート・リソースおよび問題解決に関する情報では、Debug Tool で問題が発生した場合に使用可能な、問題解決に役立つリソースについて説明します。
- 付録E. アクセシビリティー では、障害者が Debug Tool および Debug Tool の資料を使用するのを援助するために使用できる、フィーチャーおよびツールについて説明します。
最後の数章には、特記事項、参考文献、および用語集を記載しています。
本書で使用する用語
Debug Tool でサポートされる各種のプログラム言語間、あるいはプラットフォーム間で用語が異なるため、一群の共通用語を設けています。下記の表は、これらの用語とそれに対応する各言語での用語をリストしています。
| Debug Tool の用語 |
対応する C および C++ の用語 |
対応する COBOL または非言語環境プログラムの COBOL の用語 |
対応する PL/I の用語 |
アセンブラー |
| コンパイル単位 |
C および C++ ソース・ファイル |
プログラムまたはクラス |
- プログラム
- Enterprise PL/I 用の PL/I ソース・ファイル
- package ステートメントまたは Enterprise PL/I1 のメイン・プロシージャーの名前
|
CSECT |
| ブロック |
関数または複合ステートメント |
プログラム、ネストされたプログラム、メソッドあるいは PERFORM ステートメント群 |
ブロック |
CSECT |
| ラベル |
ラベル |
パラグラフ名またはセクション名 |
ラベル |
ラベル |
注:
- PL/I プログラムは、以下のいずれかの環境でコンパイルおよび実行する必要があります。
- Enterprise PL/I for z/OS バージョン 3.6 以降でコンパイルし、以下のバージョンの言語環境プログラムで実行する。
- 言語環境プログラム バージョン 1.9 以降
- 言語環境プログラム バージョン 1.6、バージョン 1.7、またはバージョン 1.8(APAR PK33738 用の PTF を適用済み)
- Enterprise PL/I for z/OS バージョン 3.5 (APAR PK35230 および PK35489 用の PTF を適用済み) でコンパイルし、以下のバージョンの言語環境プログラムで実行する。
- 言語環境プログラム バージョン 1.9 以降
- 言語環境プログラム バージョン 1.6、バージョン 1.7、またはバージョン 1.8(APAR PK33738 用の PTF を適用済み)
Debug Tool は、特定レベルのコンパイラーを使用してコンパイルされたプログラムにのみ適用される機能を提供します。このため、「Debug Tool リファレンスおよびメッセージ」では、次の用語を使用します。
- アセンブラー
- 高水準アセンブラー (HLASM) を使用してアセンブルされた、デバッグ情報を保持しているアセンブラー・プログラムを指します。
- COBOL
-
非言語環境プログラムの COBOL という用語で説明されている COBOL コンパイラーを除き、Debug Tool によってサポートされるすべての COBOL コンパイラーを指します。
- 逆アセンブリーまたは逆アセンブル
- デバッグ情報なしでコンパイルされた高水準言語プログラム、または、デバッグ情報を保持していないアセンブラー・プログラムを指します。Debug Tool は、これらのプログラムに対し、逆アセンブリー表示によってデバッグ・サポートを提供します。
- Enterprise PL/I
- Enterprise PL/I for z/OS and OS/390® および VisualAge® PL/I for OS/390 コンパイラーを指します。
- 非言語環境プログラムの COBOL
- 以下の COBOL プログラムのいずれかを指します。
- IBM OS/VS COBOL コンパイラーでコンパイルされたプログラム。
- NOTEST コンパイラー・オプションを使用して VS COBOL II コンパイラーでコンパイルされて、非言語環境プログラムのライブラリーとリンクされたプログラム。
本書の内容を読み進むときに注意すべきことは、言語環境プログラムのライブラリーを
使用してプログラムをリンクおよび実行したとしても、OS/VS COBOL プログラムは非言語環境プログラムのプログラムであるということです。
NOTEST コンパイラー・オプションを使用してコンパイルし、非言語環境プログラムのライブラリーとリンクした VS COBOL II プログラムは、非言語環境プログラムのプログラムです。TEST コンパイラー・オプションを使用してコンパイルし、言語環境プログラムのライブラリーとリンクした VS COBOL II プログラムは、言語環境プログラムのプログラムです。
非言語環境プログラムの COBOL に固有の情報が提供されている場合を除き、Debug Tool の始動方法と非言語環境プログラムの COBOL プログラムのデバッグ方法については、非言語環境プログラムのプログラムに関する情報を参照してください。
- PL/I
- 全レベルの PL/I コンパイラーを指します。例外については、参照される個々の PL/I コンパイラーについて記述されているテキストに注意書きがあります。
構文図の表記規則
このセクションでは、構文図の読み方を説明します。構文図の記号と
図に含められる項目 (キーワード、変数、区切り文字、演算子、フラグメント参照、
オペランド) を定義し、こうした項目を含む構文例を示します。
構文図は、コマンド・ステートメントを構成する要素 (オプションと引数) と順序を図で示すものです。
左から右、上から下に向かって、メインパスの横線をたどりながら読みます。
記号
構文図で示される記号は、以下のものです。
- 記号
- 定義
- >>---
- 構文図の開始を示します。
- --->
- 構文図が次の行に続くことを示します。
- >---
- 前の行から構文が続いていることを示します。
- ---><
- 構文図の終了を示します。
構文項目
構文図には、さまざまな項目が含まれます。含まれる構文項目には、以下のものがあります。
- キーワード: コマンド名またはその他のリテラル情報。
- 変数: 変数はイタリック体で小文字で示され、指定できる値の名前を表します。
- 区切り文字: キーワード、変数、または演算子の開始または終了を示します。
例えば、左括弧が区切り文字です。
- 演算子: 演算子には、加算 (+)、減算 (-)、乗算 (*)、除算 (/)、等号 (=) や、
実行の必要があるその他の数学的演算が含まれます。
- フラグメント参照 - さらに詳細に示すために、図から分離した構文図の一部です。
- 分離文字: 分離文字は、キーワード、変数、または演算子を区切ります。例えば、
コンマ (,) が分離文字です。
キーワード、変数、および演算子は、必須、オプション、またはデフォルトとして表示されます。
フラグメント、分離文字、および区切り文字は、必須、またはオプションとして表記されます。
- 項目タイプ
- 定義
- 必須
- 必須項目は、メインパスの横線上に示されます。
- オプション
- オプション項目は、メインパスの横線の下に示されます。
- デフォルト
- デフォルト項目は、メインパスの横線より上に示されます。
構文例
以下の表に、構文例を示します。
ご意見の送付方法
本書または Debug Tool の他のマニュアルについてご意見がありましたら、IBM 発
行のマニュアルに関する情報の Web ページ (http://www.ibm.com/jp/manuals/) よりお送りください。今後の参考にさせていただきます。(URL は、変更になる場合が
あります)
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このインフォメーション・センターでは Eclipse テクノロジーが採用されています。(http://www.eclipse.org)