CICS での Debug Tool の始動
このトピックでは、Debug Tool の各種始動方法を比較して、それぞれの方法について説明します。ここでは、以下のタスクが完了していることを前提としています。
- CICS® Transaction Server、言語環境プログラム、および Debug Tool に必要なインストールと構成のステップがすべて完了していることを確認します。詳しくは、各製品のインストールとカスタマイズのガイドを参照してください。
- 以下のトピックのすべての作業を完了します。
CICSで Debug Tool を始動する方法の比較
CICS で Debug Tool を始動するには、いくつかの異なるメカニズムが使用できます。各メカニズムには異なる利点がありますが、それらを以下に列挙します。
- DTCN は Debug Tool 提供のフルスクリーン CICS トランザクションです。これを使用すれば、デバッグ対象のタスクを識別する CICS リソース名のパターンを含むプロファイルを作成できます。
アプリケーションが最初にリンク・エディットされていた、言語環境プログラムのいずれの TEST または NOTEST ランタイム・オプションも変更することができます。また、DTCN を使用して、特に Debug Tool 用ではない
他の言語環境プログラムランタイム・オプションを変更することもできます。DTCN を使用してプロファイルをセットアップする方法については、CICS プログラムの準備を参照してください。
- CADPは、デバッグ・プロファイルを管理できる CICS トランザクションです。
このトランザクションは、CICS Transaction Server for z/OS® バージョン 2 リリース 3 で使用できます。CADP には、DTCN に比べ、次の利点があります。
- CADP を使用すると、1 つのプログラム名を持つ複数のプロファイルを、同じディスプレイ装置から追加できます。サポートされるプロファイルの数に
制限はありません。DTCN を使用すると、8 個までのプログラム ID を持つ単一のプロファイルを、1 つのディスプレイ装置から追加できます。どちらの場合も、ワイルドカードでプログラム名を指定できます。
- CADP は、言語環境プログラムのアプリケーションのデバッグ・プロファイルを管理するために DTCN と同じ機能を提供します。
また、CADP は、Java™ アプリケーション、Enterprise Java Bean (EJB)、および CORBA ステートレス・オブジェクトのデバッグ・プロファイルを管理する場合にも役立ちます。
- CADP プロファイルは永続的で、VSAM ファイル内に保持されます。
永続的とは、CICS 領域の再開前に CADP プロファイルが存在していた場合は、CICS 領域の再開後にも CADP プロファイルが存在しているということです。DTCN プロファイルの場合は、デバッグ・プロファイルが定義された一時ストレージ・キューを所有する CICS 領域が再開されると、領域の再開後にもう一度 DTCN プロファイルを追加する必要があります。
- CADP プロファイルは、CICSPLEX 全体に渡って共用できます。
- アプリケーションにリンク・エディットされる言語環境プログラムの CEEUOPT モジュール。ここに適切な TEST オプションを含めると、そのオプションが、アプリケーションが実行されるたびに Debug Tool を始動するよう、言語環境プログラムに指示します。
このメカニズムは、Debug Tool を頻繁に実行したい、新規コードの初期テストの間には便利です。
- #pragma runopts(test) (C および C++ の場合)、CALL CEETEST など、アプリケーション内のコンパイラー指示。
これらの指示は、複数のエンクレーブや複数の CU アプリケーションの中で
よく使用される一片のコードに対して、複数のデバッグ・セッションを
実行する必要がある場合に役立ちます。アプリケーションは指示に出会うまで Debug Tool なしで実行され、指定されたとおりの場所で Debug Tool が始動します。CALL CEETEST を使用すると、アプリケーションが変数をテストし、その変数の値によって、ある条件の場合に Debug Tool を呼び出すこともできます。
プログラムがこれらのいくつかの方法を使用する場合、
優先順位は言語環境プログラムにより決定されます。言語環境プログラムランタイム・オプションの優先順位については、
「z/OS Language Environment プログラミング・ガイド」を参照してください。
DTCN を使用した CICS での Debug Tool の始動
DTCN プロファイルが存在し、CICS プログラムが開始すると、Debug Tool はプログラムのリソースがプロファイルと一致しているかどうかを確認するためにリソースを分析します。Debug Tool が一致を検出すると、Debug Tool はそのプログラムに対してデバッグ・セッションを開始します。複数のプロファイルが存在する場合、Debug Tool はプログラムと一致するリソース数が最も大きいプロファイルを選択します。2 つのプログラムの一致リソース数が等しい場合、Debug Tool はどちらか古い方のプロファイルを選択します。
作業を始める前に、CICS プログラムの準備で説明されているとおりに CICS プログラムが準備されていることを確認してください。
CICS のもとで DTCN を使用して Debug Tool を始動させるには、以下の手順を実行してください。
- 画面制御モードを選択した場合、「表示 ID (Display
Id)」フィールドで指定した端末で DTSC トランザクションを開始してください。
- CICS プログラムを実行します。Debug Tool が DTCN プロファイルと一致するタスクを識別すると、Debug Tool は始動します。画面制御モードを選択した場合、DTSC トランザクションが実行中の端末で Enter を押して、Debug Tool と接続してください。
DTCN によって開始された CICS デバッグ・セッションの終了
プログラムのデバッグを終了した後、再度 DTCN を使用して、PF6 を押してデバッグ・プロファイルを
削除してから PF3 を押して終了し、デバッグ・プロファイルをオフにします。ロード・モジュールから EQADCCXT を除去する必要はありません。むしろ、次に Debug Tool を始動する必要があるときのために、そのまま残しておくのがよいでしょう。
例: デバッグを行うために Debug Tool が CICS プログラムを選択する方法
例えば、以下の 2 つのプロファイルがあると仮定します。
- 最初、リソース ID プログラム PROG1 を指定して、プロファイル A が保存されたとします。
- その後、リソース ID ユーザー ID USER1 を指定して、プロファイル B が保存されたとします。
PROG1 が USER1 によって実行される場合、プロファイル A が使用されます。
この状態になった場合、エラー・メッセージがシステム・コンソールに送られ、このメッセージには追加のリソース ID を指定する必要がある旨が示されます。上記の例では、各プロファイルでユーザー ID とプログラム ID の両方を指定する必要があります。
ここで述べた内容に関して詳しくは、以下のトピックを参照してください。
CADP を使用した CICS プログラムでの Debug Tool の始動
作業を始める前に、CICS プログラムの準備で説明されているとおりに CICS プログラムが準備されていることを確認してください。
CICS のもとで CADP を使用して Debug Tool を始動させるには、以下の手順を実行してください。
- 画面制御モードを選択した場合、「表示 ID (Display
Id)」フィールドで指定した端末で DTSC トランザクションを開始してください。
- CICS プログラムを実行します。Debug Tool が CADP プロファイルと一致するタスクを識別すると、Debug Tool は始動します。画面制御モードを選択した場合、DTSC トランザクションが実行中の端末で Enter を押して、Debug Tool と接続してください。
ここで述べた内容に関して詳しくは、以下のトピックを参照してください。
- 関連資料
- CICS Supplied Transactions
CEEUOPT を使用した CICS での Debug Tool の始動
アプリケーションを実行するたびに、言語環境プログラムが Debug Tool を始動するように要求するには、CEEUOPT モジュールに適切な TEST ランタイム・オプションを指定してアセンブルします。CEEUOPT モジュールをライブラリーにリンク・エディットし、ユーザー・アプリケーションをリンクする時に、リンク・エディット・オプション
に INCLUDE LibraryDDname(CEEUOPT-MemberName) ステートメントを
追加するだけです。アプリケーション・プログラムがロード・ライブラリーに置かれると (必要であれば NEWCOPY されると)、プログラム実行のたびに Debug Tool が始動します。
Debug Tool は、指定した TEST ランタイム・オプションで定義されたモード (通常は単一端末モード) で実行されますが、基本コマンド・ファイルとログ・ファイルを提供し、端末をまったく使用しないこともできます。
Debug Tool を始動するには、単にアプリケーションを実行するだけです。
プログラムのデバッグを終了したときには、TEST ランタイム・オプションを含む CEEUOPT を除去することを忘れないでください。
ここで述べた内容に関して詳しくは、以下のトピックを参照してください。
コンパイラー指示を使用した CICS での Debug Tool の始動
プログラムでコンパイル指示が処理されると、Debug Tool は単一端末モードで始動します (この方法は、単一端末モードだけをサポートします)。
ここで述べた内容に関して詳しくは、以下のトピックを参照してください。
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