クラウド・ボリュームとスナップショット

クラウド・ボリュームは、透過クラウド階層化が有効になった任意のボリュームです。ボリュームで Transparent Cloud Tiering を有効にすると、ポイント・イン・タイム・コピー (すなわちスナップショット) を作成して、クラウド・サービス・プロバイダーが提供するクラウド・ストレージにコピーできます。これらのスナップショットは災害復旧用にシステムに復元できます。クラウド・ボリュームを作成する前に、サポートされているクラウド・サービス・プロバイダーとの有効な接続が構成されていなければなりません。

Transparent Cloud Tiering を使用すると、システムでは、クラウド・サービス・プロバイダーへの接続およびシステム上のボリュームまたはボリューム・グループのクラウド・スナップショットの作成がサポートされます。 クラウド・スナップショットとは、作成されて、クラウド・サービス・プロバイダーが管理するクラウド・ストレージに転送されるボリュームのポイント・イン・タイム・コピーのことです。 クラウド・アカウントはシステムとサポートされているクラウド・サービス・プロバイダーとの間の接続を定義します。データをクラウド・ストレージに転送したりクラウド・ストレージから復元したりするには、事前にクラウド・アカウントを構成する必要があります。 クラウド・サービス・プロバイダーとのクラウド・アカウントを構成したら、どのボリュームのクラウド・スナップショットを作成するかを決定し、それらのボリュームで Transparent Cloud Tiering を有効にします。

ボリュームが以下のいずれかの状況の場合、そのボリュームはクラウド・スナップショットに使用できません。
  • ボリュームがリモート・コピー関係に含まれている。
  • ボリュームが VMware vSphere 仮想ボリュームである。
  • ボリュームが FlashCopy® マッピングに関連付けられている。
  • 別のストレージ・プール内にボリュームのコピーがある。
  • 異なるストレージ・プール間でボリュームがマイグレーションされている。
  • クラウド・ストレージがインポート・モードに設定されている場合、ボリュームのクラウド・スナップショットを有効にすることができない。
  • 最大数のクラウド・ボリュームがすでに存在する場合、ボリュームのクラウド・スナップショットを有効にすることができない。システム上のクラウド・ボリュームの最大数は 1024 です。
    注: システムがこの限度を超えた場合は、既存のクラウド・ボリューム上のクラウド・スナップショットを無効にし、そのボリュームに関連付けられているスナップショットをクラウド・ストレージから削除して、新規クラウド・ボリューム上にスナップショットを収容できます。

この機能にボリュームを使用できるようになると、そのボリュームのクラウド・スナップショットを作成してクラウド・ストレージに保管できます。 異なる時点で複数のスナップショットを作成でき、各バージョンにはタイム・スタンプが付けられ、クラウド・ストレージに保管されます。 クラウド・ストレージ上の各スナップショット・バージョンは特定のポイント・イン・タイムにおけるデータを表しているため、必要に応じてさまざまなバージョンを復元できます。 システムでは、ローカル・システム・データと別のシステム上のデータの両方のスナップショットがサポートされます。 これらのクラウド・スナップショットの中には、ローカル・システム上に対応するクラウド・ボリュームがあるものがありますが、対応するクラウド・ボリュームがないものもあります。 こうしたクラウド・ボリュームのさまざまなスナップショットから、必要に応じてデータを復元できます。 クラウド・ストレージにスナップショットがあるボリュームを表示するには、管理 GUI またはコマンド・ライン・インターフェースを使用することができます。

システムでは以下の 2 つのタイプのクラウド・スナップショットがサポートされます。
フル・スナップショット
ボリュームのクラウド・スナップショットが初めて作成されるときは、すべてのデータがクラウド・ストレージにコピーされます。 それ以降のボリュームのクラウド・スナップショットには、初回のスナップショットから変更されたデータのみが含まれます。 各スナップショット・バージョンのボリュームはタイム・スタンプが付けられ、クラウド・ストレージに保管されます。したがって、フルおよび差分のスナップショットでは、すべてのデータがクラウド・ストレージにコピーされ、復元操作が必要になると、そのデータを使用できます。 ボリュームに大量のデータが含まれる場合、フル・スナップショットに長時間かかる可能性があります。
差分スナップショット
このバージョンには、選択されたボリュームのクラウド・スナップショットが前回作成されてから変更されたデータが含まれます。 差分のみのスナップショットは、フルスナップショットより短時間で完了します。

個別のボリュームを単一のボリューム・グループに追加して、そのグループ内のすべてのボリュームのスナップショットを作成できます。 ボリュームが類似の内容を含む場合、またはボリュームが特定のホストまたはアプリケーションによって使用される場合、それらのボリュームをボリューム・グループに追加するとスナップショット操作を単純化できます。 グループ内のボリュームごとに別個のスナップショットが開始されます。グループは、スナップショットの作成前に作成しておく必要があります。 ボリューム・グループは、mkvolumegroup コマンドを使用して構成できます。管理 GUI にすべてのクラウド・ボリュームがリストされ、ボリュームが属するボリューム・グループの名前が示されます。

個別のクラウド・ボリュームとボリューム・グループには、そのボリュームをスナップショット操作に使用できるかどうかを示す、さまざまな状況があります。 これらの状況を使用して進行中のスナップショットとスナップショットのエラー状態をモニターできます。 クラウド・ボリュームには以下のスナップショット状況があります。

オフ
Transparent Cloud Tiering は無効になっています。そのボリュームまたはボリューム・グループではスナップショットを作成できません。
作動可能
Transparent Cloud Tiering は有効になっています。そのボリュームまたはボリューム・グループでは新規スナップショットを開始できます。
コピー中
Transparent Cloud Tiering は有効になっています。スナップショット操作が進行中であり、データはクラウドに転送中です。
コピー中のエラー
Transparent Cloud Tiering は有効になっています。既存のスナップショット操作が進行中ですが、エラーが原因で完了できません。 コピー中のエラーの原因として、クラウド・サービス・プロバイダーへのネットワーク接続が失われたこと、またはクラウド・ストレージ上の容量を超過したことが挙げられます。 エラーの原因を判別するには、管理 GUI で「モニター」 > 「イベント」を選択するか、lseventlog コマンドを入力してエラー・ログの簡略ビューまたは詳細ビューを表示してください。
作動不能
Transparent Cloud Tiering は有効になっています。ボリュームの復元が進行中であるため、新規スナップショット操作を開始できません。

Transparent Cloud Tiering では、クラウド・ストレージに転送するボリューム・データのスナップショットの作成に加え、クラウド・ストレージからシステムへのボリューム・データの復元もサポートされます。 スナップショットと同様に、各コピー操作のバージョンにはタイム・スタンプが付けられ、クラウドに保管されます。これにより、元のシステムまたは別のシステムへの特定のポイント・イン・タイム・リカバリー操作が可能になります。 古いバージョンは、スペース管理のためにシステムとクラウド・ストレージから同時に削除および除去できます。 個々のボリュームのみのスナップショットを復元できます。複数のボリュームを同時に復元できますが、各復元操作はボリュームごとに別々に開始する必要があります。

リカバリー・シナリオによっては、古いバージョンのクラウド・スナップショットの復元が必要になる場合があります。 ただし、クラウド・ストレージ上のより新しいバージョンはすべて、進行中のスナップショット操作も含め削除されます。 管理 GUI はクラウド・スナップショットのバージョンを確認し、選択されたスナップショットが最新バージョンでない場合は警告を発行します。 復元操作を続行するには、こうした他のバージョンの削除を確認する必要があります。 restorevolume コマンドを使用して旧バージョンのクラウド・スナップショットを復元する場合、-deletelatergenerations パラメーターを指定して、後続のすべてのバージョンのスナップショットを削除する必要があります。

ボリューム・データの復元は、クラウドにコピーされた任意のスナップショット・バージョンを使用して行います。これには、まだ進行中のスナップショット・バージョンからの復元も含まれます。 スナップショット・バージョンとそのスナップショット・バージョンの復元先のボリュームは、同じサイズでなければなりません。 復元に使用されているバージョンは削除できません。 スナップショット・バージョンは以下の方法で復元できます。
実動ボリュームへの復元
スナップショット・バージョンを実動ボリューム (スナップショットの作成元のボリューム) に復元します。 スナップショット・バージョンにより、実動ボリューム上に存在する現行データが、クラウド・ストレージに保管されているデータに置き換えられます。 復元操作中、実動ボリュームはオフラインになります。 データは変更がコミットされるまで実動ボリュームに完全に復元されません。
新規ボリュームへの復元
スナップショット・バージョンを新規ボリュームに復元すると、復元されたデータをスナップショットの作成元のボリュームから独立して使用できます。 新規ボリュームがシステム上に存在する場合、復元操作では元のボリュームの固有 ID (UID) が使用されます。 新規ボリュームがシステム上に存在しない場合、元のボリュームの UID を使用するか新規 UID を作成するかを選択する必要があります。 同じシステム上の新規ボリュームを使用する予定の場合は、復元されるスナップショット・バージョンに関連付けられた UID を使用します。 別のシステムに存在するボリュームのバージョンを現行システムに復元する場合は、固有の UID が必要です。
個別のクラウド・ボリュームには、そのボリュームを復元操作に使用できるかどうかを示す、さまざまな状況があります。 これらの状況を使用して進行中の復元操作をモニターできます。 クラウド・ボリュームには以下の復元状況があります。
なし
このボリュームのどのスナップショット・バージョンも復元に使用できません。
使用可能
選択されたボリュームには、クラウド・ストレージ上に、復元できる使用可能スナップショット・バージョンがあることを示します。
復元中
このボリュームの復元が進行中であることを示します。
復元中のエラー
復元操作が進行中ですがエラーが発生したことを示します。復元中のエラーの原因として、クラウド・サービス・プロバイダーへのネットワーク接続が失われたこと、またはボリュームが属するプール上の容量を超過したことが挙げられます。 エラーの原因を判別するには、管理 GUI で「モニター」 > 「イベント」を選択するか、lseventlog コマンドを入力してエラー・ログの簡略ビューまたは詳細ビューを表示してください。