IP クォーラム・アプリケーション構成

IP クォーラム・アプリケーションは、別個のサーバーまたはホスト上で稼働する Java™ アプリケーションです。IP クォーラム・アプリケーションは、イーサネット・ネットワークで、システム上の半分のノードまたはエンクロージャーが使用不可になる障害シナリオを解決するために使用されます。このシナリオでは、このアプリケーションは、どのノードまたはエンクロージャーがホスト操作の処理を続行できるかを判別して、システムの半分が両方とも入出力処理を別々に続行する分割システムを回避します。さらに、IP クォーラム・アプリケーションは、システム・リカバリーに使用される構成メタデータを保管するクォーラム・ディスクも提供します。メタデータ・リカバリー用に既にクォーラム・ディスクが構成されているシステムの場合は、タイ・ブレーク操作のみを提供するように IP クォーラム・アプリケーションを構成することができます。

IP クォーラム・アプリケーションは、外部ストレージが構成されていない、単一サイトまたは標準トポロジーで構成されているシステムに対して、クォーラム・デバイスとして機能することもできます。システムが標準トポロジーで構成されている場合、IP クォーラム・モードは「標準」に設定されます。「優先」または「勝者」のクォーラム・モードが使用可能になるのは、システム・トポロジーが標準に設定されていない場合のみです。IP クォーラム・アプリケーションのクォーラム・モードを変更するには、「設定」 > 「システム」 > 「IP クォーラム」を選択し、モードを「優先」または「勝者」に設定するか、chsystem コマンドを使用します。この構成ではシステム・タイ・ブレーク機能が使用可能となり、システムのノードまたはエンクロージャーの半分がアクセス不能な場合に入出力処理が自動的に再開されます。

複数サイト・トポロジーをサポートするシステムでは、サイトで実行されているアプリケーションや、環境でクォーラム管理に 3 番目のサイトを使用しているかどうかなどの他の要因に基づいて、どのサイトが中断後に入出力を再開するかを指定できます。例えば、選択したサイトが入出力再開で優先されるかどうか、またはサイトがタイ・ブレークのシナリオで自動的に「勝者」となるかどうかを指定できます。重要なアプリケーションが実行されているサイトが 1 つのみの場合は、そのサイトを優先として構成できます。中断中、システムは、「優先」に指定されていない他のサイトでのタイ・ブレーク操作の処理を遅らせます。指定された優先サイトの方が入出力を再開する傾向が高くなり、重要なアプリケーションはオンラインのままになります。優先サイトが中断が発生したサイトである場合は、他のサイトが引き続きタイ・ブレークの勝者となり、入出力を続行します。この機能は、IP クォーラム・アプリケーションにのみ適用されます。ファイバー・チャネル・ベースの 3 番目のサイトのクォーラム管理には適用されません。 拡張構成または HyperSwap® 構成では、3 番目のサイトのクォーラム・ディスクの代わりとして、3 番目のサイトで IP クォーラム・アプリケーションを使用できます。IP クォーラム・アプリケーションをクォーラム・デバイスとして使用する場合は、3 番目のサイトにファイバー・チャネル接続は必要ありません。現在、3 番目のサイトのクォーラム・ディスクを使用している場合は、その 3 番目のサイトを削除してから IP クォーラム・アプリケーションを使用する必要があります。

IP クォーラム・アプリケーションの使用には、IP ネットワークに関する厳密な要件といくつかのデメリットがあります。システム構成の特定の側面が変更される場合、IP クォーラム・アプリケーションを再構成してホストに再配置する必要があります。例えば、システムのノード (またはホット・スペア・ノード) を追加あるいは削除した場合や、ノードのサービス IP アドレスを変更した場合などです。その他の例として、システム証明書の変更やイーサネット接続の問題の発生が挙げられます。イーサネット接続の問題により、IP クォーラム・アプリケーションはまだオンラインになっているノードにアクセスできなくなります。IP アプリケーションがオフラインの場合、システム構成が変更されているため、IP クォーラム・アプリケーションを再構成する必要があります。管理 GUI に IP クォーラム・アプリケーションの状態を表示するには、「設定」 > 「システム」 > 「IP クォーラム」を選択します。システムのソフトウェア・バージョンを更新する場合、システム・リカバリー操作に使用する構成メタデータを保管するクォーラム・ディスクのサポートを含めるために、IP クォーラム・アプリケーションを再構成して再配置する必要があります。lsquorum コマンドを使用して、IP クォーラム・アプリケーションの状態を表示することもできます。

単一システムにデプロイできる IP クォーラム・アプリケーションの最大数は 5 です。 ホストまたはサーバーごとにサポートされる IP クォーラム・アプリケーションのインスタンスは 1 つのみです。複数のホストまたはサーバー上で IP クォーラム・アプリケーションを構成することで、冗長性を提供することができます。 環境内に複数の Spectrum Virtualize システムがある場合、複数の IP クォーラム・アプリケーションがホストごとに許可されますが、各 IP クォーラム・インスタンスは環境内の単一の Spectrum Virtualize システムでのみ使用する必要があります。また、ホストやサーバーは、複数の IP クォーラム・インスタンスをサポートするために使用可能な帯域幅が必要です。次のネットワーク要件を使用して、これらのタイプの環境で必要な帯域幅と待ち時間を判別します。推奨される構成は、ホストまたはサーバーごとに IP クォーラム・アプリケーションのインスタンスが 1 つのままです。

システムによって提示されるストレージに依存するホスト上に IP クォーラム・アプリケーションを導入しないでください。そのようにすると、IP クォーラム・アプリケーションがストレージにアクセスできないことが原因で、ノードが入出力を処理するために IP クォーラム・アプリケーションを検出する必要があるときに検出できなくなる可能性があります。

IP クォーラムの要件

安定したクォーラム解決のために、IP ネットワークは以下の要件に対応する必要があります。
  • IP クォーラム・アプリケーションを実行中のサーバーからすべてのノードまたはノード・キャニスターのサービス IP アドレスへの接続。IP ネットワーク・セキュリティーの構成が誤っている場合、この接続はサービス・アシスタント・インターフェースへのアクセスにも使用される可能性があるため、ネットワークは、サービス IP アドレスの公開に伴うセキュリティーへの潜在的な影響にも対処する必要があります。
  • IP クォーラム・アプリケーションを実行する各サーバーで、IP クォーラム・アプリケーションが含まれるディレクトリーには許可ユーザーのみがアクセスできるようにする必要があります。メタデータは読み取り可能な形式でディレクトリーに保管されるため、IP クォーラム・アプリケーションとメタデータに対するアクセス権が許可ユーザーのみに制限されていることを確認してください。
  • ホストからすべてのノードまたはエンクロージャーに通信するために、IP クォーラム・アプリケーションではポート 1260 が使用されます。
  • 遅延は往復で最大 80 ミリ秒 (ms) (片方 40 ms) を超えてはなりません。
  • メタデータ用のクォーラム・ディスクなしで IP クォーラム・アプリケーションを構成する場合は、システムとクォーラム・アプリケーションの間のトラフィックに対して、最小 2 MB/ 秒の帯域幅が保証されます。システムで IP クォーラム・アプリケーションをメタデータ用のクォーラム・ディスクと使用している場合は、システムとクォーラム・アプリケーションの間のトラフィックに対して、最小 64 MB/秒の帯域幅が保証されます。
  • メタデータを持つ IP クォーラム・アプリケーションを保管するディレクトリーには、少なくとも 250 メガバイトの使用可能な容量がなければなりません。
IP クォーラム・アプリケーションの実行に使用されるホストは、以下の最小要件を満たしている必要があります。
表 1. サポートされるオペレーティング・システムおよび Java ランタイム環境
オペレーティング・システム Java™ のベンダーおよびバージョン
IBM® OpenJDK Oracle
7.1 7.1+ 8 8.1+ 7 7+ 8 8+ 7 7+ 8 8+
AIX7 X X X X                
AIX7.x X X X X                
RHEL6 X X X X X X X X X X X X
RHEL6.x X X X X X X X X X X X X
RHEL7 X X X X X X X X X X X X
RHEL7.x X X X X X X X X X X X X
SLES11 X X X X X X X X X X X X
SLES11.x X X X X X X X X X X X X
SLES12 X X X X X X X X X X X X
SLES12.x X X X X X X X X X X X X
CentOS6         X X X X        
CentOS6.x         X X X X        
CentOS7         X X X X        
CentOS7.x         X X X X        
Win2008 X X     X X X X X X X X
Win2008x X X     X X X X X X X X
Win2012 X X X X X X X X X X X X
Win2012x X X X X X X X X X X X X
Win2016 X X X X X X X X X X X X
Win2016x X X X X X X X X X X X X

IP クォーラムのインストール

ノードの追加、サービス IP アドレスの変更、または SSL 証明書の変更によって構成を変更する場合、IP クォーラム・アプリケーションをダウンロードして、再度インストールする必要があります。IP クォーラム・アプリケーションをダウンロードしてインストールするには、以下の手順を実行します。
  1. 管理 GUI で、「設定」 > 「システム」 > 「IP クォーラム」を選択して、目的のバージョンの IP クォーラム Java アプリケーションをダウンロードします。コマンド・ライン・インターフェース (CLI) を使用して mkquorumapp コマンドを入力し、IP クォーラム Java アプリケーションを生成することもできます。このアプリケーションは、システムの dumps ディレクトリーにファイル名 ip_quorum.jar で保管されます。
  2. IP クォーラム・アプリケーションを実行する予定のサーバーまたはホストで、IP クォーラム・アプリケーション専用のディレクトリーを個別に作成します。
  3. IP クォーラム・アプリケーションを、システムから IP クォーラム・アプリケーションを実行するサーバーまたはホスト上の個別ディレクトリーに転送します。
  4. ホスト・サーバーで ping コマンドを使用して、ホストがシステム内の各ノードのサービス IP アドレスとの接続を確立できることを確認します。
  5. ホストで、コマンド java -jar ip_quorum.jar を実行して、IP クォーラム・アプリケーションを初期設定します。
    注: IP クォーラム・アプリケーションは常に実行中でなければなりません。
  6. IP クォーラム・アプリケーションがインストールされ、アクティブであることを確認するには、「設定」 > 「システム」 > 「IP クォーラム」を選択します。新規 IP クォーラム・アプリケーションは、検出されたアプリケーションの表に表示されます。 システムが自動的に、クォーラム・ディスク用の MDisk を選択します。 IP クォーラムを使用する拡張構成または HyperSwap 構成では、システムは両方のサイトから MDisk を自動的に選択します。これらの MDisk には、システムのリカバリーに使用されるメタデータが保管されます。 クォーラム・ディスクとして使用する特定の MDisk を選択したい場合は、「プール別の MDisk」を選択し、目的の MDisk を右クリックして「クォーラム」 > 「クォーラム・ディスクの変更」を選択します。システム CLI で lsquorum コマンドを使用して、IP クォーラム・アプリケーションが接続され、アクティブ・クォーラム・デバイスになっていることを確認することもできます。クォーラムとして使用されている MDisk をコマンド・ライン・インターフェースを使用して変更する場合は、chquorum コマンドを使用します。